美容医療コラム
日頃から紫外線を気にしていても、少しの油断から日焼けをした経験がある方も多いのではないでしょうか?日焼けをしても数日経てば、肌の赤みやほてりがなくなるため、それほど大きなダメージを受けていないように感じるかもしれません。
しかし、日焼けによる肌のダメージはとても大きく、シミの原因になります。
今回は、日焼けでシミができるメカニズムやシミ予防が期待できるホームケア、美容クリニックでできる施術について解説します。
日焼けした肌は、炎症を起こした状態です。日焼けには「サンバーン」と「サンタン」の2種類あり、それぞれ肌に起こる症状は異なります。
サンバーンは、紫外線を浴びた数時間後から肌の赤みと熱をもち、さらに紫外線のダメージが大きい場合は、水ぶくれや痛み、腫れなどの症状が現れます。
サンタンは、サンバーンによってできた赤みの消失とともに現れる色素沈着反応で、肌内部でメラニンが過剰に生成され、シミにつながります。日焼けした肌はバリア機能の低下によって、シミができやすい状態です。
日焼けがシミの原因となるメカニズムには、メラノサイトが大きく関係しています。肌は紫外線を浴びると、紫外線ダメージを防ぐべくメラニンを生成するように脳から指令が出ます。そして肌の基底層にある、メラニンを作るメラノサイトへの情報伝達によって、シミができてしまうのです。
また長年、紫外線を浴びていると、メラノサイトは刺激を受け続けている状態になり、過剰にメラニンが生成され、シミにつながるケースもあります。
日焼けしないように気をつけていても、完全に紫外線をブロックするのは難しいのが現状です。日焼けしたときは、できるだけ早めのケアが大切です。日焼け後の肌はデリケートな状態であるため、なるべく刺激を与えないようやさしくケアしましょう。
日焼け後すぐにしてほしいケアは、クールダウンです。日焼けは肌がやけどしたのと同じような状態であるため、できるだけ早く冷やしましょう。
肌を冷やすには、保冷剤や氷がおすすめです。保冷剤を直接肌に当てると、保冷剤と皮膚がくっつく恐れがあるので、必ず布で包んで使いましょう。
保冷剤や氷がない場合は、ミネラルウォーターをスプレーなどで直接肌にかけて冷やすのもおすすめです。
日焼け後の肌は脱水状態なので、たっぷり保湿しましょう。シートマスクや、化粧水をコットンにたっぷり浸み込ませたコットンパックがおすすめです。
ミスト状やジェルタイプの化粧水を使うと、ひんやりとした使い心地を実感できます。肌に刺激を与えないように、保湿力の高いアイテムを使用しましょう。
シミの主な原因は紫外線です。紫外線は日差しの強い夏場だけではなく、年間通して降り注いでいます。シミを予防するためには季節を問わず、紫外線対策を行うようにしましょう。
シミの予防には、毎日のスキンケアを見直すのも大切です。
汚れをしっかり落とそうとゴシゴシ洗いたくなるかもしれませんが、摩擦は肌にとって大敵です。洗顔料をよく泡立てて、やさしくマッサージするように洗いましょう。また洗い流すときはぬるま湯で、洗い残しがないようにしっかりすすぎ、タオルで押さえるように水分を拭き取りましょう。
洗顔後の肌には保湿が大切です。肌は乾燥した状態が続くと、バリア機能が低下し、紫外線などのダメージを受けやすくなります。
おすすめの保湿成分を4つご紹介します。
セラミドは、水分を持続的に保持する働きがある保湿成分です。もともと肌の中にあり、細胞同士を結びつける働きがあります。
コラーゲンは肌の真皮(表皮の内側にあり、皮膚組織の大部分を占める層)の主成分で、親水性が高く一度捉えた水分を逃さないといった性質があります。
エラスチンは肌の弾力性を保つ弾性線維で、肌のハリを維持するのに大切な成分です。
ヘパリンとは真皮の構造物質のひとつで、水分を抱え込む働きがあります。ヘパリン類似物質は、このヘパリンに類似した成分を保湿成分として応用したものです。
シミやそばかすを防ぐ成分が配合された、スキンケアアイテムを使用するのもよいでしょう。ビタミンC誘導体やアルブチン、エラグ酸などは、メラニンを作るチロシナーゼに働きかけ、日焼けによるシミやそばかすの予防が期待できます。
日焼け対策に欠かせないのがUVケアです。紫外線は波長によって「UV-A」「UV-B」「UV-C」の3つに分けられ、このうち肌にダメージを与えるのは「UV-A」「UV-B」です。
UV-Aは真皮層にまで到達し、シミの原因となるメラノサイトを刺激したり、肌のハリを守るコラーゲンやエラスチンなどに影響を与えたりします。
UV-Bは、肌の炎症の原因となる紫外線で、日焼け後に肌が赤くなるのはUV-Bの影響です。UV-Bを浴び続けると、紫外線ダメージから肌を守ろうとメラニンが多く作られるため、シミの原因になるといわれています。
日焼け止めには、「SPF」と「PA」といった数値が記載されていますが、これらの値は「UV-A」「UV-B」をどれだけ防げるかを表したものです。
SPFはUV-Bに対する数値、最大値は50です。日焼け止めを塗った場合と塗らない場合を比較し、サンバーンの防止作用がどれほど高いかを示しています。
「+」で表されるPAは、UV-Aに対する数値です。「+」の数は1~4つまであり、多いほどUV-Aに対抗する作用が期待できます。
日焼け止めクリームは、「SPF」や「PA」の数値が高いものを選びがちですが、値が高いほど肌への負担も大きくなるので、用途に合わせて選ぶようにしましょう。
シミ予防には、体の外側からのケアだけではなく、体の内側からのケアも大切です。
特に積極的にとりたい栄養素3つを、ご紹介します。
肌の新陳代謝を促進し、ターンオーバーを整えます。ビタミンAが多く含まれる食品は、レバー、あん肝、ウナギ、卵、乳製品などです。
メラニン色素が肌に沈着するのを予防し、シミを目立ちにくくする働きが期待できます。
ビタミンCが多く含まれる食品は、りんご、キウイ、柑橘類、ピーマン、さつまいも、じゃがいも、緑茶などです。
活性酵素を抑制し、ビタミンCの働きをサポートする作用が期待できます。ビタミンEが多く含まれる食品は、アボカド、ナッツ類、うなぎ、サケなどです。
美容クリニックで行われるシミの施術は、大きく4種類に分けられます。クリニックやシミの種類によって、施術方法は異なります。
シミの施術でよく用いられるのが、内服薬です。他の施術と組み合わせて行われるケースもあります。
ビタミンCとパントテン酸を配合したビタミン複合剤で、メラニン色素の形成を抑制する作用があり、シミやそばかすのケアに処方されます。
メラニンを生成する細胞のメラノサイト活性化を抑制する働きがあり、特に肝斑(かんぱん)の治療で処方されます。
L-システインが有効成分であり、一般的には湿疹やニキビなどの肌トラブルで処方される薬です。シミに対しては、メラニン色素を抑制する作用が期待できます。
シミの施術で使われる外用薬は、主に2種類あります。2種類の外用薬の使用によって、シミの原因となるメラニンを排出させ、メラニンの生成を抑制する働きに期待が持てます。
ビタミンA誘導体であるレチノイドの一種で、その作用はピーリング剤に似ています。角質を剥がし、メラニン排出などの作用が期待できます。
ハイドロキノンにはシミの原因である、メラニンの生成を抑える作用があります。美白剤といわれる薬剤の一種で、強い作用があるためアレルギーや炎症反応を起こすリスクがあり、医師の処方が必要です。
フォトフェイシャルは、IPLという特殊な光を気になる部分に照射し、シミやくすみなどの肌トラブルをケアする施術です。機器から発せられる光が、シミやそばかすの原因となるメラニン色素に作用します。
またシミだけではなく、真皮の線維芽細胞を活性化させる作用もあるので、小じわや毛穴の開き、キメの改善も期待できます。
1回でシミが取れるわけではなく、月に1回のペースで4〜5回繰り返し施術するのが一般的です。
レーザー治療とはシミの原因となる、メラニン色素を破壊してシミの除去を図る施術です。レーザーには、メラニンなどの黒色に反応するものと、毛細血管などの赤色に反応するものがあります。
また、レーザーによって、波長とパルス幅(照射時間)が異なり、シミの種類や特性に合わせてレーザーを使い分けます。
ロングパルスレーザーは、もっとも波長が長く、赤ら顔や赤アザの改善が期待できます。威力がとても強く火傷のリスクもあるため、主に血管腫などヘモグロビンが原因のシミに使用されます。
Qスイッチレーザーは、黒色や茶色、青色に反応する特徴から、シミだけではなくアザやアートメイクの除去などに使用されます。
ピコレーザーは1兆分の1秒の照射間隔で、周りの組織へのダメージを軽減しながら、シミやそばかすの基となるメラニン色素を破壊します。色素沈着が起こりにくい特徴があります。
日焼けは一時的に肌へダメージを与えるだけではなく、肌の赤みやほてりが治まったあとも、シミの原因となる場合があります。シミを予防するには、体の内外からアプローチすることが大切です。
ホームケアでシミを改善できない場合は、美容クリニックに相談するのもひとつの方法です。美容クリニックで施術を行う際は、医師の実績や施術例を調べて、信頼のおける美容クリニックで施術を行うようにしましょう。
監修者
シミができる原因のひとつは日焼け。日焼けによってシミができるメカニズムと、体の内外からアプローチするホームケアの方法、美容クリニックで行われているシミの施術について解説します。