美容医療コラム
この記事の概要
薄毛治療に用いられる飲み薬の種類と作用、男女別の副作用の症状、服用する上での注意点や入手方法についてご紹介します。
薄毛治療のひとつに飲み薬の服用がありますが、一概に飲み薬といっても複数の種類があり、それぞれ作用・副作用が異なります。
また、男性と女性とでは、服用できる飲み薬が異なる点にも注意が必要です。
ここでは、薄毛治療の種類と作用をご紹介します。あわせて、飲み薬の入手方法や服用時の注意点についても解説しますので、飲み薬での薄毛治療を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
さまざまな薄毛治療薬がありますが、次のように性別によって服用できる飲み薬が限られています。また、同じAGA治療薬でも、薬の種類によって特徴が異なります。
内服薬の名前 | 対象 | 特徴 |
パントガール | 女性 | ・ケラチン、L-シスチンなど発毛、毛髪の弾力に必要な成分を配合
・副作用が少ない |
プロペシア | 男性 | ・5αリダクターゼII型の働きを抑制するフィナステリドを配合
・副作用が少ない ・ジェネリック医薬品が開発されている |
ザガーロ | 男性 | ・5αリダクターゼⅠ型とⅡ型を阻止するデュタステリドを配合
・プロペシアよりも強く薄毛に作用する |
女性専用の薄毛治療薬「パントガール」は、世界ではじめて女性の薄毛に作用する内服薬として認められた飲み薬で、髪の主成分であるタンパク質の増加・合成をサポートするケラチン、L-シスチンが配合されています。
毛根細胞の活性化を促し、毛周期サイクルを整える働きにより、健やかな髪を育てる作用が期待できます。なお、髪は1カ月に1cm程度しか伸びず、短期間では作用が実感しづらいので、3カ月継続しての服用が推奨されています。
男性専用の薄毛治療薬「プロペシア」「ザガーロ」は、いずれも薄毛を引き起こす酵素「5αリダクターゼ」の働きを阻害する成分が配合されています。
プロペシアには、5αリダクターゼⅠ型に作用するフィナステリドが配合、ザガーロには5αリダクターゼⅠ型とⅡ型、どちらにも作用するデュタステリドが配合されています。
そのため、ザガーロはプロペシアよりも強く薄毛に作用するといわれています。
なお、ザガーロと同じ成分が配合された飲み薬にアボルブがありますが、本来は前立腺肥大の治療薬として使用されているので、たいていのクリニックが薄毛治療目的で処方していません。
また、一般的にプロペシアとザガーロは「AGA治療薬」と呼ばれ、男性のみが対象です。女性が服用すると、ホルモンバランスなどの心身の乱れを引き起こす恐れがあるので、服用は認められていません。
薄毛治療として内服薬を服用する場合、副作用が生じる恐れがあります。女性と男性、それぞれの薄毛治療薬に関する副作用についてご紹介します。
女性の薄毛治療薬「パントガール」には、フィナステリドといった男性の薄毛治療薬に配合されている医薬品は含まれておらず、タンパク質の一種であるケラチンなどの栄養素で作られています。
そのため、一般的には強い副作用は現れにくいといわれていますが、中には副作用が出る方もいるので、以下のような体調不良が生じた場合は、すぐに服用を中止し、医者に相談しましょう。
AGA治療薬を服用して副作用が出現する方は、全体の0.1%〜0.2%程度と極まれですが、飲み薬の種類によっては、次のような副作用が生じるケースがあります。
プロペシアとザガーロ、どちらも肝機能に障害をもたらす恐れがあるので、肝炎や肝硬変といった肝機能に関する治療を行っている方は、慎重に薄毛治療薬の服用を検討しましょう。
また、肝機能に関する治療を行っていない方でも、薄毛治療薬を服用し、副作用と思われる症状が生じた際には、すぐさま服用を中止し、医師に相談することをおすすめします。
ちなみに、副作用が現れたとしても、薄毛治療自体を中止するとは限らず、薬の種類の変更もしくは減薬などにより、継続して薄毛治療を続けられる場合があります。
薄毛治療薬は次の方法で入手することが可能です。
それぞれの方法について詳しく解説します。
薄毛治療薬は、通信販売や薬局で買うことができます。「自分が好きなタイミングで購入できる」「クリニックの受診料や検査料を抑えられる」という点は、通信販売と薬局で購入する上でのメリットといえるでしょう。
また、「クリニックを受診するのは抵抗がある」という方にとっては、周囲の目を気にすることなく、薄毛治療が開始できるというメリットもあります。
ただし、通信販売されている飲み薬の中には海外輸入品の恐れがあり、厚生労働省から承認されていないものもあります。安全性を見極めるのが難しいという点は、通信販売での購入時のデメリットといえるでしょう。
さらに、未承認の飲み薬を服用し、体調に万が一のことが起きた際は、医薬品副作用被害救済制度が適用されず、すべて自己責任となります。安全性を重視する方は、通信販売ではなく、薬局にて薄毛治療薬を購入しましょう。
薄毛治療薬は、薄毛治療を行っているクリニックで処方しています。クリニックでの処方には、「通院が面倒」「薬代が通信販売で購入するよりは高い」というデメリットがありますが、副作用が現れたときは医師に対応してもらえるので、健康被害のリスクを抑えられるメリットがあります。
また、医師が一人ひとり診察を行い、薄毛の原因や症状を把握した上で、飲み薬を処方するので、効率よく薄毛治療を行えるメリットもあります。
男性用の薄毛治療薬は、男性のみを対象として開発されています。女性が男性用の薄毛治療薬を服用すると、ホルモンバランスの乱れなどにより体調不良を引き起こす恐れがあるので、家族などで共用は避けましょう。
また、すでに持病などにより、常時飲み薬を服用している方も注意が必要です。飲み薬の種類によっては、薄毛治療薬との併用は避けたほうがいい場合もあるので、通信販売や薬局で購入するのは避け、クリニックで処方してもらうようにしましょう。
ちなみに、高血圧治療薬を服用している方は、降圧効果が現れる恐れがあるので、ミノキシジルが配合された薄毛治療薬との併用は、避けたほうがいいとされています。
また、常時飲み薬を服用していない方でも、薄毛治療薬の種類や使用方法によっては副作用が生じる恐れがあるので、きちんと使用方法を守りましょう。
薄毛治療には飲み薬による治療法があり、男性と女性では服用できる内服薬が異なります。女性が男性用薄毛治療薬である「プロペシア」「ザガーロ」を服用すると、ホルモンバランスが乱れ、健康リスクが生じる恐れがあるので、家族などで共用は避けましょう。
また、男性用薄毛治療薬および女性用薄毛治療薬のいずれも、副作用は現れにくいといわれていますが、まれに副作用とみられる症状が現れる場合があります。服用後に体調の異変を感じた場合は、すぐに医者に相談しましょう。特に、男性用薄毛治療薬は、肝機能に悪影響を及ぼす恐れがあるので、注意が必要です。
なお、薄毛治療薬は、通信販売・薬局・クリニックでの処方と3通りの方法で購入できます。ただし、通信販売で手に入る飲み薬の中には、厚生労働省から認証を受けていないものもあるので、慎重に検討することが大切です。健康リスクを避けつつ、効率よく薄毛治療を行いたい方は、クリニックを受診し、処方してもらう方法をおすすめします。