美容医療コラム
医療脱毛で用いられる医療レーザーは、どのようなメカニズムで脱毛へ導くかご存知でしょうか?脱毛方法には医療脱毛の他に、自己処理やサロン脱毛などがありますが、より長期間の作用を期待するのであれば医療脱毛がおすすめです。
この記事では、医療脱毛とサロン脱毛との違い、各レーザーの仕組み、脱毛機を紹介します。
医療脱毛とは、医療用レーザーを用いた脱毛方法です。施術を担当するのは、医師や看護師など医療資格を有する人です。
医療脱毛には、メラニン色素に反応する特殊なレーザーが用いられます。レーザーを肌に照射すると、メラニン色素に反応して熱エネルギーが生じます。その熱が発毛司令塔であるバルジ領域や、毛の製造元である毛乳頭へ伝わり毛が生えなくなるのです。
毛には生え変わる周期があり、一度の照射では完全に脱毛作用を発揮できません。そのため、周期に沿って継続して照射する必要があります。
医療脱毛とサロン脱毛には、どのような違いがあるのでしょうか?
サロン脱毛と医療脱毛の大きな違いは、作用期間です。先述の通り医療脱毛は医療用レーザーを使用し、毛をつくる毛母細胞やバルジ領域を刺激して長期間の作用を目指します。
しかしサロン脱毛はフラッシュやライトなど、弱い光を使用した脱毛方法なので持続性は期待できません。
そのため、医療脱毛はサロン脱毛と比較し、施術回数を抑えられます。施術部位や毛量にもよりますが全身の場合、医療脱毛は5回〜8回、サロン脱毛は12回〜18回です。
施術期間は個人差がありますが、医療脱毛では半年〜1年半で施術の完了を目指せます。
ただし、医療脱毛では、高出力照射ができる医療用レーザーを使用するので、施術中の痛みはサロン脱毛より強いです。しかし、美容クリニックや医療機関の場合、麻酔を使用できます。
費用は、医療脱毛は1回当たりの金額が高くても、サロンに比べて施術回数が少ないので、総額はあまり変わらないというケースもあります。
医療脱毛で使用するレーザーは、大きく分けて「ダイオードレーザー」「アレキサンドライトレーザー」「ヤグレーザー」の3種類。また、照射方式は、熱破壊式と蓄熱式の2種類です。
熱破壊式は高出力レーザーを照射し、毛根にある毛母細胞を破壊します。そのため、早ければ施術翌日には毛が抜けはじめます。しかし、熱破壊式は蓄熱式と比べて痛みが強く、敏感肌や日焼けした人は基本的に使用できません。
一方、蓄熱式は低出力レーザーを連続照射し、発毛の司令塔であるバルジ領域を破壊します。施術時は痛みが少なく、じんわりと温かい感覚があります。敏感肌や日焼けした人におすすめです。しかし、変化を実感するまで時間がかかることと、太く濃い毛に対するアプローチ力は熱破壊式に劣ります。
ダイオードレーザーは、幅広い肌質や毛質に対応できるバランスの優れたレーザーです。照射範囲が広く、施術は短時間で済みます。波長は800nmで、産毛から太い毛まで対応しています。照射方法は熱破壊式と蓄熱式の2種類で、色素が薄い人から日焼けしている人まで、多くの肌質に対応しているレーザーです。
ダイオードレーザーは、真皮層より奥の毛の脱毛には不向きです。
アレキサンドライトレーザーは、医療脱毛機でもっともメジャーなレーザーであり、日本人の毛質や肌質によく合う波長のレーザーです。
メラニン色素に強く反応する性質があるので、この性質を利用して医療脱毛の他にも、しみやそばかすの治療や毛孔性苔癬(もうこうせいたいせん)と呼ばれる、二の腕にできるぶつぶつの施術にも使用されます。
波長は755nmと、医療脱毛で使用するレーザーではもっとも短いです。メラニン色素に反応する性質から、肌の色素が薄く体毛との色合いが異なるほど、脱毛作用を実感できます。VIOやワキなど、太く濃い毛の脱毛に向いています。
しかし、メラニン色素に強く反応する分、日焼けしている肌は火傷のリスクが伴います。また、産毛や白髪には反応が薄く、脱毛作用を実感しにくいというデメリットがあります。
ヤグレーザーは、小範囲の濃い毛や男性のヒゲ、ワキなどの根の深い毛に使用されます。また、ダイオードレーザーやアレキサンドライトレーザーで、脱毛できなかった部位や硬毛化(こうもうか)した毛に対して、使用する場合が多いレーザーです。
波長が1064nmとレーザーの中でもっとも長く、深部に生えた毛の脱毛に優れています。
ヤグレーザーはメラニンに反応しづらいという特徴があるため、日焼けした肌にも用いられます。
しかし、波長が長く皮下脂肪まで届くので、3つのレーザーの中で特に痛みが強く、痛みに敏感な人にはおすすめできません。さらに照射スピードも遅いです。
医療脱毛に使用するレーザーの種類は3つですが、アプローチできる毛の種類や、痛みの軽減方法は機器によって異なります。それぞれどのような違いがあるか見ていきましょう。
ジェントルレーズは、アレキサンドライトレーザー搭載の脱毛機です。シネロン・キャンデラ社が製造しており、日本で最初に薬事承認を受けた機器です。現在も、日本の多くのクリニックで導入しています。
照射方式は熱破壊式で、レーザー照射時に冷却窒素ガスを噴射し、肌表面を冷やしながら施術を行います。ジェントルレーズシリーズは、施術時にジェルの塗布が不要で、ベタベタせず施術時間の短縮が叶います。毛が太く濃い人や、短時間の施術を希望する人におすすめです。
ジェントルレーズの新しい機器です。アレキサンドライトレーザーの搭載や、照射方式、冷却ガスで肌を保護する点は旧機器と変わりません。
しかし、照射スピードが上がり、より大きな照射口に進化したジェントルレーズプロは、一度に広範囲の照射が可能なため、短時間での施術が可能です。出力レベルも細かく調整でき、対応する肌質や毛質も旧機器に比べ幅広くなりました。
ジェントルレーズと同様に、太く濃い毛の人やより短時間の施術を希望する人におすすめです。
ジェントルマックスプロは、ジェントルレーズの派生機種です。アレキサンドライトレーザーとヤグレーザー、2種類のレーザーを搭載しています。照射方式や冷却ガスで保護する点は、他ジェントルシリーズと変わりません。
ヤグレーザーとの併用で、アレキサンドライトレーザーで残った濃い毛や太い毛にもアプローチできます。
ライトシェアデュエットは、ダイオードレーザー搭載の熱破壊式脱毛機で、2種類の照射口があります。クリニックでは、ジェントルシリーズの次に導入率が高い機器です。
照射口のひとつは吸引機能があり、広い範囲の脱毛に適しています。ジェル塗布不要で、肌を吸引しながら照射し、痛みを軽減します。もうひとつの照射口は冷却機能があり、顔やVIOなど狭い範囲の脱毛に適しています。
冷却機能付きを使用する場合、ジェル塗布・除去が必要なのでジェントルシリーズと比べ、施術時間がやや長くなりがちです。
冷却機能付き照射口は毛が太く濃い人、吸引機能付きの照射口は短時間で施術したい人におすすめです。
ソプラノアイスプラチナムは、医療用レーザー3種を同時に照射できる蓄熱式の脱毛機です。事前に施術部位にジェルを塗布し、肌表面を滑らせるようにして照射します。施術中は、じんわりと温かい感覚があります。レーザーの打ち漏れがなく、照射スピードが早いのが特徴です。
ジェルの塗布・除去に時間がかかりますが、痛みが少ないので痛みが苦手な人や敏感肌、日焼けした肌におすすめです。
ソプラノチタニウムは、ソプラノアイスプラチナムのアップグレード版です。施術スピードがより早く、大手医療クリニックで導入が増えてきています。3種類のレーザーを同時照射できる点や、照射方式、ジェル塗布・除去が必要な点は旧機種と変わりありません。
ソプラノアイスプラチナム同様、痛みが苦手な人や日焼けした人、敏感肌の人におすすめです。
メディオスターNeXT PROは、2種のダイオードレーザーを搭載しています。照射方式は蓄熱式で、ソプラノシリーズと同様もしくはそれ以上にメジャーです。蓄熱式脱毛機では数少ない、薬事承認を受けた機器です。
通常のダイオードレーザーより長い波長(808nm・940nm)を照射でき、産毛から根深い毛、男性のヒゲまで対応できます。
施術はジェル塗布後滑らせるようにして行い、ソプラノシリーズと同様にじんわりと温かい感覚があります。痛みはほとんどないので、痛みが苦手な方や敏感肌、日焼けした肌におすすめです。
メディオスターモノリスは、メディオスターNeXT PROのアップグレード版です。照射方式や施術方法はそのままで、施術スピードや操作性・安全性が向上しています。施術者の技術力に左右されにくい点がメリットです。
旧機器同様、痛みが苦手な人や敏感肌、日焼けした肌に加え、短時間で施術を受けたい人におすすめです。
クラリティイツインは、アレキサンドライトレーザーとヤグレーザー搭載の脱毛機です。照射方式は熱破壊式で、2つのレーザーを切替照射して施術します。
日本の厚生労働省にあたる米国FDA承認の脱毛機で、根深い毛や濃く太い毛に高いアプローチ力があります。
産毛や日焼けした肌にも対応可能ですが、毛の濃い部位では強い痛みを感じる恐れがあります。
スプレンダーXは、ヤグレーザーとアレキサンドライトレーザーの2つのレーザーを搭載した脱毛機です。2つのレーザーを同時に照射する熱破壊式の脱毛機で、産毛から濃く太い毛まで幅広く対応できます。
クラリティツインと同じく、毛が濃い部分の脱毛は痛みが強く、痛みに弱い人や敏感肌の人は向きません。根深い毛にも対応しているので、日焼けした人や濃く太い毛の人におすすめです。
ラシャはダイオードレーザー搭載の脱毛機で、特徴として照射方法を切替や、一人ひとりの毛質や肌質に合わせた施術ができる点です。
蓄熱式は産毛へのアプローチ力が特に高く、太く濃い毛には熱破壊式で対応します。照射面をマイナス15度に冷却する装置が搭載されており、レーザーの痛みや熱さを感じにくいです。
照射方法が切り替えられるので、自分に合う脱毛方式がわからない人におすすめです。
医療脱毛は、毛のサイクルに沿って毛母細胞をレーザーで破壊する脱毛方法です。1回あたりの料金はサロン脱毛に比べ高額ですが、施術回数が少なく長期間の作用が期待できます。
レーザーの種類は3種類あり、照射方法は熱破壊式と蓄熱式の2種類です。
医療脱毛をするときは、毛量や毛の太さ、肌の状態や痛みの感じ方などを参考に、自分に合った脱毛機を導入しているクリニックを選択しましょう。