美容対談シリーズ
対談医師
室孝明(むろたかあき)
事故で鼻を失った子供の鼻を形成外科医が再建するドキュメンタリー番組を見たことを契機に形成外科医を目指す。「美のバランス」に強いこだわりを持つ。埼玉医科大学を卒業後、鼻の再建外科を学ぶため東邦大学形成外科に入局。2011年~ヴェリテクリニックに勤務。分院長として丁寧なカウンセリングと目、鼻、アンチエイジングを三本柱とした治療をベースに東京と福岡で診療を行う。2017年、福岡にビスポーククリニックを開院。個性を活かした美のバランスを提案するオーダーメイドクリニックとして定評がある。学会講演やセミナーも多数こなし、地域医療の技術向上と美容医療の啓蒙活動に従事する。
美容クリニック「VENUS BEAUTY CLINIC」をプロデュースし、美容や整形についてのYouTubeも大人気! 自他ともに認める美容愛好家の愛沢えみりさんが、ゲストのドクターと美容整形について対談するYouTube企画がスタートしました。
えみりさんからの本気の質問に、技術やキャリアに定評のある美容外科医の方々にお答えいただくこの企画。ここではテキストで、YouTube版では泣く泣くカットされた部分も収録したほぼ原形バージョンとしてお届けします。すでに動画をご覧の方もぜひ今一度checkを! 第1回のゲストは、元ヴェリテクリニック/現ビスポーククリニック院長の室孝明先生! イケメンで気さくでお話上手な室先生と楽しく美容トークしました。
愛沢えみり
(以下、
えみり)
美容外科の先生は形成外科の方とそうでない方がいて、自分がこれまでに手術をしていただいた方々がぐうぜん形成の先生だったことを昔は知らなかったんです。いつも口コミで評判のいい先生にお願いしていたので、すごくラッキーだったんだ!って(笑)。室先生はその形成の先生ということで、今日はいろいろ聞いていきたいと思ってます♪
よろしくお願いします! もちろん形成外科医じゃなくても上手な先生はたくさんいらっしゃるんですけど、例えばトラブルに対応できる力って形成の基礎だったりするので。愛沢さんは幸い大きなトラブルの経験もなく、知らないうちにいい先生に巡りあえていたんですね。
室孝明
(以下、
室)
えみり
こうして美容整形についてちゃんとお話するようになったのって実は最近なんです。だからこそ皆さんに発信するからにはやっぱり正しい情報を発信したいなと思ってて…! ではさっそく質問していきますね。プロフィールにもある、室先生が大事にされているという「美のバランス」についておしえてください。
例えば愛沢えみりさんのお顔になりたい人ってたくさんいますけど、もともとのお顔によって近くなれる人、なれない人がいて。後者の人をどういう方向に持っていくかって大事なんですよ。
ただひたすらに寄せようとするとなんか違和感が出ちゃう。私の場合ですけど、そういう場合はその患者さんの持ってる長所をできるだけ引き延ばして、短所を目立たなくするようにします。これが「バランス」の基本です。
室
えみり
そういう判断はお顔全体を見てされるんですか?
お顔だけじゃなく身長から見ます。これ、絶対大事。あと服装や職業、なんならどこにバレちゃいけないとか生活とのバランスまで見ますよ。
室
えみり
すごい!私も全体の雰囲気が大事だと思ってて。お顔の整形でそこまで考えてくれる先生ってなかなかいないと思います。
珍しくもないと思うんですが、こんなカウンセリング初めてですとは言われますね。いまは有名人も整形を公表するようになって、それを見て「ああなりたい」って手術を受ける方もたくさんいますけど、ちゃんと「指揮する人」がいないとかわいそうな方向にいってしまうこともあります。あと整形のダウンタイム中に誰と会うかも大事ですね。無理して誰かに会って「整形した?」とか、例え成功してたとしても「前のほうがよかった」とか言われると初めての人は特にグサッときます。だからダウンタイムはなるべく籠るか、整形に理解のある人とだけ会うのが良い。そういうのも「バランス」ですね。
室
えみり
私も(術後)あまりすぐにSNSに載せないんです。人からいろいろ言われることで気持ちが上下してメンタルが安定しないので、自分の中で「大丈夫!」ってなってから投稿するようにしてます。
大事ですね! それからお顔の流行に合わせて次々変えていくのは当然ですけど負担がかかります。
室
えみり
私も10年前にやった整形を修正しているので…(笑)。
そうご自分で言ってしまえる愛沢さんは素晴らしいですよね(笑)。お顔ってとっかえひっかえできないわけで、整形を繰り返すに連れて「バランス」を越えて不自然な領域に入ってしまうと、いつかのタイミングで後悔する場合が多い。だからバランスを守りつつ患者さんの希望を近づけることが大事なんです。
室
えみり
拍手です(笑)! カウンセリングに行くと、いろいろ進めてくる先生もいるじゃないですか。それがいいか悪いかは置いておいて、必要以上に整形してしまってバランスを崩すこともあると思うんです。だから良くなりそうなところは進めてくれて、やる必要ないところは止めてくれる。それがすごく大事なのかなって。「やればやるだけ綺麗になるのが美容整形ではない」というのはすごく言いたいですね。
本当にそうですね。整形って自分が綺麗になるためにやるもので、自分がハッピーにならなきゃだめなんですよ。元に戻せないことも十分あるし、やって良かったと思うためにはしっかり考えてやる必要がありますね。
室
えみり
もう永久保存版です(笑)。すごくいいお話~!
せっかくだからもうちょっと痩せておいたほうが良かったかな(笑)。ちなみに、愛沢さんがものすごく小顔なだけで、僕がすごく大きいわけじゃないですよ!
室
逆に僕から愛沢さんに質問したいこといっぱいあるんですよ。
室
えみり
うれしいです!なんでも聞いてください。
愛沢さんは「自分が他の人と違うと思う部分」ってなんだと思います? 周りと比べてご自身がどうだからいまの愛沢えみりさんがあると思いますか? いまは本当に多方面でご活躍されているわけですけど。
室
えみり
自分がやっていることって全部好きなことなんです。それでただひたすらここまで突き進んできたというか。なので何が違うかと言ったら難しいんですけど…「自分を客観的に見られる」ことですかね。
自分を外側から冷静に見られるということ?
室
えみり
はい。何か新しいことを始めるときもそれが役にたっているような。うまく言えないけど、それかな(笑)。
ただお綺麗なだけでここまではなれないですよね。
室
えみり
見た目はもう美容医療に感謝です(笑)。
見た目も含めてプロデュースがお上手なんだと思います。なぜこんなことを聞いたかというと、今度の学会で発表する内容が、「形成外科医が苦手とする、有名な美容外科医になる方法」なんです。要は「なぜ形成外科医はPRが弱いのか」ということを先生向けに発表しようと思ってて。
室
えみり
私、それについてわかったことがあって! SNSを使わない方が多いからなのかな?って思うんです。だからネット上になかなか情報が上がってこない。そういう先生に「SNSやらないんですか?」と聞くと、「実力があるので必要がない」という意見が多くて。あまり派手にやるのはよろしくないような文化もあるのかなって。
有名な美容外科医になりたいか、美容外科で名医になりたいか。この2つって絶対違うものなんですよ。一緒の場合もありますけど。
室
えみり
どちらも兼ねている先生は少ないですよね。でも室先生はそうだと思ったので今回お呼びしたんです!
ありがたいですが、僕なんか全然。僕のインスタのフォロワー数って愛沢さんの100分の1にも満たないですけど、ドクターの中でも何万って人はたくさんいますよね。でもそれがイコール名医というわけでもない。ドクターとしてたくさん修行して腕を磨くのとインスタをたくさん更新するのと患者さんにとってどっちがいいかというと、当然前者じゃないですか。患者さんがいないとそもそも上手くもなれないわけですけど、形成外科医は患者さんのために修行するという思いがあるから、まず患者さんを集めてそれで練習して…とは思わないんですよ。誰だって練習台になりたくないわけで。やっぱり「どういう医者でありたいか」ってところで、形成のドクターは頑固なんですよね(笑)。
室
えみり
理解できる部分もあるんですけど、いまの時代はSNSで発信することも大事だと思うので、そんな形成の先生が増えてほしいな(笑)。
例えばお寿司でも2千円のもあれば、5万円のものもありますよね。どちらがいいかはご予算など何を求めるかっていう人それぞれの価値観によるじゃないですか。それと同じく、クリニック選びもその人の価値観で決めていいと思います。でも、どんな患者さんも真面目で一所懸命な先生がいいのは確かですよね。
室
えみり
それはそうですよね!
でも、じゃあ形成外科医なら安心かと言えばそうでもないんですよ。正直、患者さんに優しくない先生が多い傾向にもあります。先ほども言ったように形成だから必ず腕がいいとも言えなくて、形成じゃない先生でめちゃくちゃ上手な方もいますしね。だからそこはとにかく先生と実際にお話をして、信頼できるかどうかを判断する必要があります。
室
ちなみに愛沢さんはいま永遠の若さ以外に何が欲しいですか?
室
えみり
え!なんだろう…。欲しいものないかもしれない。永遠の若さは欲しいです(笑)。
それ抜きで(笑)。いろいろなことをされてきて、いろいろなものを見て、物欲が減ったということ?
室
えみり
なくなりましたね。
頂点ですよ、これは(笑)。今日お会いしてご挨拶させていただいたとき「品があるな」って思ったんです。「品」ってたぶん学んで身につくものではないんですよ。品がある人はやっぱり光りますね。本当は美容整形で外見を整えることで自信を身に着けて、それが凛とした品格を手に入れるところまで繋がるといいなと思ってます。
室
えみり
深い…! 見た目だけじゃなくて内面も磨く努力をすることで、本当の意味で綺麗になったり幸せになったりするのかもしれないです。見た目ばかり気にかけがちですけど、けっこう内面が大事なのかなって。両方バランス良くということですかね。見た目は美容医療の力を借りて、内面は自分で努力する! …室先生、今日お話してみてイメージが変わりました(笑)。
どんなイメージだったんですか(笑)。
室
えみり
自分でもいろいろ手術を受けてきたから思うんですけど、室先生は先生だけど患者さんの側で考えてくださる方だってわかりました。
美容外科医だからすごく遊んでそうとかそういうことですか(笑)? もうちょっと遊ばないとなって思いながら仕事ばっかりしてますよ。
室
えみり
そういう先生のほうが安心できます(笑)。
えみり
ヴェリテクリニックの頃はどんなことに力を入れていたんですか?
一言で言うと、「いかに福田先生※と違うことをするか」。これですね(笑)。※福田慶三先生(ヴェリテクリニック)。国内の美容外科医なら知らない者はいない大ベテランドクター
室
えみり
そうなんですか(笑)! 先生おもしろいwww
福田先生は若い頃から尊敬していた先生で、患者さんの希望を徹底的に叶える方なんです。人柄もおもしろくて、可愛らしいところもあって。で、ヴェリテはやはり福田先生に指名が集まるんです。私なんか若手が普通にやっていたって患者さんが来ないので、何か福田先生と違う色を出そうということで。その「色」っていうのが、さっき言った「バランス」なんですよ。
室
えみり
なるほど!
僕ももちろん福田先生と同じく患者さんの希望を叶えるために頑張るんですけど、それがバランスから外れた場合は一言モノ申します(笑)。「それはアリだけど、こういうのはどう?」と提案して。僕、いつもシミュレーションを5~10パターンくらい作るんですよ。現状からどのようにしていくとお顔がもっとも活きるかを患者さんの希望を元に作るんです。これはいまも変わらずやっていることで、カウンセリングは長いけどいい話を聞けたって言ってくれる患者さんも多いです。
室
えみり
それがいまに繋がっているわけですね。シミュレーションって、いまはアプリで簡単に修正ができるじゃないですか。ビフォー/アフターを作って見てみるとかでもいいんですか?
いいと思います。ただ、それが医学的に現実的かどうか、長期的に持つかどうかも考える必要がありますね。
室
えみり
そこはカウンセリングで聞く、ですね。
有名人の写真を持ってこられる方も多いですね。「こういう顔が好きなんですけど、私に合わせたらどうなります?」みたいな。いつもそういう感じでシミュレーションしてますよ。
室
えみり
室先生のカウンセリング時間ってどれくらいなんですか?
目は比較的早いですけど、鼻や輪郭は印象がガラッと変わるパーツなので、短くても40分くらいは。
室
えみり
長い!
患者さんにもよりますけど、いろいろ説明していくとどうしても時間がかかりますよね。鼻の手術の場合だと、まずカウンセリングが一回。それと手術前に一回、顔の型取りをするんです。シミュレーション通りにするためにどこを何ミリどうするかって計算する作業ですね。だから患者さんには手術までに二回、当日合わせると3回お会いします。それぞれけっこう時間をとるので、鼻の場合は短くても計1時間半くらい。それでも足りないかもしれないですけど、それ以上は患者さんとしてもくどいかもしれないので(笑)。
室
えみり
それくらい鼻は慎重さを求められる手術ってことですよね。
鼻は一番大事だと思いますね。
室
えみり
鼻が一番お顔の印象変わりますか?
一番変化があるはやっぱり目だと思います。人は会話するとき目を見て話すんです。「目8割、口2割」と言われていて、鼻は素通りなんですね。でも、目・口、目・口って視点が行き来する間ずっと鼻を通っているので、その鼻が何か特徴のある形をしていると気になっちゃう。印象深い鼻をしている人って「あの鼻の人」ってなるもので。
室
えみり
鼻は存在がないくらいがいいとも言いますもんね。
綺麗な人って、あまり鼻の印象がないことが多いんですよ。もちろん、鷲鼻とか特徴のある鼻で綺麗な方もいますけどね。鼻って形もそうだし配置も大事で。愛沢さんはおわかりだと思うんですけど、鼻の重心は下げたほうが小顔に見えるんです。綺麗系とか可愛らしいのとか好みですけど、例えばずっと10代のようでいたい人の場合は顔の上半分のボリュームをしっかり出して、下半分をできるだけ小さくしたりとか……カウンセリングみたいになってきましたね(笑)。
室
えみり
こういう話、おもしろくて一生聞いてられます(笑)! でもお鼻で悩まれている方って多いと思います。私もそうだったんですけど…。
何かが足りない、いまひとつ垢抜けない場合はだいたい鼻なんですよ。それかフェイスライン。背を高く見せたり、痩せて見せたり、小顔に見せたり。知的に見せたり、逆にちょっとHな印象に見せたり、鼻はいろんなことができるんです。
室
えみり
確かに私も鼻を変えたことで印象がすごく変わったかもしれないです。鼻は深い…!
対談パートナー
愛沢えみり
BETICA 運営代表
株式会社voyage代表
アパレルブランドEmiriaWizの運営のほか、美容や飲食業のプロデュース、メディア運営等を行っている元歌舞伎町No1キャバ嬢。