美容対談シリーズ
対談医師
苅部 淳(かりべ じゅん)
麹町皮ふ科・形成外科クリニック運営、BIOTOPE CLINIC院長。医療法人社団FAM理事長。順天堂大学医学部を卒業後、東京大学附属病院で初期研修を行い、東京大学附属病院形成外科に入局。埼玉医科大学形成外科助教、山梨大学形成外科助教・医局長を経て現職。形成外科、美容外科医として日々診療を続ける傍ら、今後の少子高齢化を迎える日本の未来のために新たな「医療」の在り方を訴えている。また、野菜や発酵食品を中心とした食事に着目し、「美容は食事から」として、中からの健康の重要性を美容外科医として患者へ伝えている。
苅部淳先生(麹町皮ふ科・形成外科クリニック/BIOTOPE CLINIC)との美容対談、ご好評の前編に続き後編の公開です。美容についての熱いトークは益々ヒートアップ! 前編にも増して濃い内容となっています。YouTube版とあわせてじっくりご覧ください。
愛沢えみり
(以下、
えみり)
私ジャンクフードやめたんですよ!
えらいですね! 最近ですか?
苅部淳
(以下、
苅部)
えみり
半年前くらいなんですけど、でももう異常だったんです食べる量が! まさか私がやめられるなんて周りの人たちは思わなかったと思います(笑)。
すごい。それまでよくその体型を維持されてましたね。何を食べてたんですか?
苅部
えみり
じゃがりこ一日3箱くらいを…
(食い気味に)あ、もう最悪ですね。
苅部
えみり
あはは(笑)。あと、ジュースがぶ飲み。
もう最低ですね。
苅部
えみり
(笑)。でも、最終的には食べ物に気を付けないと綺麗になれないんだと気づきました。私は健康というより肌を綺麗にしたいのが大きかったんですけど。
でも、変わったでしょう?
苅部
えみり
はい! 身体が軽くなりましたし、肌のトーンもすごく上がりました。
ですよね。今すごく綺麗ですし。
苅部
えみり
ひどかったんですよ。メイクでごまかして、写真で加工みたいな世界で生きてきたので(苦笑)。本当変わりました。
もう少し早く気付いてほしかった(笑)。でも本当お綺麗なので、まだ大丈夫です。
苅部
えみり
もっと早く気付きたかった…(苦笑)。今は逆にジャンクフード食べるの恐いです。
食べるものでも肌の老化スピードがわかるんです。うちでは糖化年齢を測ってるんですけど、炭水化物とタンパク質が結合するとAGEs(最終糖化生成物)という固い老化物質になっちゃうんですね。それが含まれているのがジャンクフードなんです。商品名出せないですけど(笑)ポテトチップスとか揚げ物…唐揚げやチキンとかに多く含まれてるんですよ。体内に入ると分解できなくてどんどん蓄積されていくので、うちのスタッフとかも糖化年齢を測ってみたら80、90歳レベルまで蓄積してる人もいました。
苅部
えみり
どうやって測るんですか?
光を肌に当てるだけで、15秒で測れますよ。愛沢さんもこれで結果が良かったら逆にびっくりしますけどね。
苅部
えみり
長年の蓄積がありますから…(笑)。
何らかの解毒作用があって自らデトックスできる人もいるんですよ。医学的にわかってはいないんですけど。
苅部
でもそういう肌年齢も血管の老化なので。血管が老化すると肌もボロボロになっていく。
苅部
えみり
そうなんですか!
血管が老化すると病気も進行するし、肌もシミ・シワが増えていくという。だって病気なのに肌だけ綺麗という人もいないし、肌が健康的なのに急に病気を宣告されるとかもないんですよ。僕も皮膚科をずっとやってて、顔色が悪い人が内臓疾患や糖尿があるとかあります。顔色とか肌のくすみとかは健康状態がわかるバロメーターなんですよ。
苅部
えみり
お肌は身体の状態の指標だった。
そう。なのでこうして美容の仕事をしてるうえではもちろん皆さんに綺麗でいてほしいんですが、その前にその方が食事や運動をしてないからどのくらいで病気になりそうだとか、このままの生活を続けてたらあなた損するよとかも伝えます。綺麗である前に…
苅部
えみり
たしかに、健康であることが大事ですね。
今はまだ若いから保てるけど30~40歳で急に落ち込むので。25歳くらいから始めないと終わりだよって僕は言ってます(笑)。
苅部
えみり
じゃあこの動画を見てくださっている20代の方はぜひ(笑)。
16時間空ける、ジャンクフードを控える。この2つですね。
苅部
えみり
あと、ジュースもですね!
ジュースも最悪です(笑)。飲んでいいものは医学的に言えばほとんどないんですけど、3つかな。まずお水。東京の水道水であれば気を抜いて一応フィルターつけたほうがいいです。2つ目はコーヒー。ポリフェノールとか、ありとあらゆる病気の数値を下げる作用があるのはコーヒーだけなんですよ。
苅部
えみり
コーヒー! 意外でした。
意外ですよね。カフェインの取り過ぎは注意してほしいので一日5~6杯くらいまでで。
苅部
えみり
けっこう、それぐらいの量いいんですね。
はい。寝る前に飲んじゃうとやっぱりカフェインで活性化しちゃうので夕方ぐらいまでに飲むと。僕もけっこう飲むんです。自分でブレンドして作ったものを患者さんに渡したり。
苅部
えみり
すごいですね! 私も先生の作られたコーヒー飲みたいです(笑)。
ありがとうございます。今度出しますね(笑)。
苅部
えみり
コーヒーは私もよく飲むんですけど、カフェラテにしちゃうと良くないですか?
カフェラテは絶対アウトです。牛乳がダメなんですね。乳製品ってやっぱり発がん性が上がったり、農薬もあったりするので。いいのは無調整の豆乳や、アーモンドミルク。あと最近僕もハマッてるのがオーツミルクですね。
苅部
えみり
ソイラテならギリギリOKですか?
OKですけど、「無調整豆乳ですか?」ってお店の人に聞くのがツウのポイントです(笑)。
苅部
えみり
スタバで聞いてみようかな(笑)。
スタバは残念ながら違うんですよ。
苅部
えみり
わあ、じゃあ自分で作るしかないですね(笑)。
僕だったら自分で持ち込みますよ、ソイラテ飲むとしたら。まあどんなにいいブランドでも、一生懸命オーガニックにしてたとしても、どこまで拘ってるかは聞かなきゃわからないのでね。もう添加物がないか全部チェックしだすと食べられるものなくなっちゃうんですよ(笑)。そうなるとバルコニーで無農薬で育てた野菜しか食べられなくなっちゃうんですけどね。
苅部
えみり
今そうされてるんですか?
今は提携している野菜農家さんから一週間に一回送ってもらってるものを。段ボール一杯無農薬野菜をボリボリかじってます。
苅部
えみり
先生と同じパック欲しいです(笑)。
本当ですか?今度送りますよ。どれも生でもいけますし、紫大根とかポリフェノールたっぷりです。僕カメとかいろんな動物を飼ってるんですけど、みんなにもあげてますよ。肌艶が良くなるんですよ、本当に。水菜とか人参とか食べて、みんな元気に大きくなってます。世界初だと思うんですけど、僕は野菜を処方する美容外科医と思っております(笑)。
苅部
えみり
先生おもしろすぎます(笑)。でもそういう食事だったりの毎日の積み重ねが大事ですよね。
そうですね。一食一食が蓄積していくので、老化は自分の日々の食事が引き起こしてると肝に銘じていただければ、高い施術とかローン組んでやりまくるということもね。もちろん必要であればやりますけど、僕としてはそんなにやる必要なくて、野菜食べてれば十分綺麗になるのにって言ってますね。高いダーマペンを何十回とやっても変わらなかったって方もいますけど、聞くと食事と睡眠と運動がめちゃくちゃだったりもして。睡眠も8時間は欲しいので、それくらいとるとやっぱりハリが良くなりますよ。
苅部
えみり
睡眠は次の日すぐわかりますよね。
もう基本的な食生活、睡眠、運動というところだけですよね。
苅部
えみり
では、お肌が綺麗な人がやっている事、お肌を綺麗にするために今からできることを教えてほしいです。
僕は皮膚科の保険診療もやっているので、ニキビやアトピーで悩まれている患者さんもすごく多いんですね。美容皮膚科はその延長線上にあると思っているので。皮膚科的な素因といって遺伝的に肌が弱い方、あとは環境要因といってスポーツをやっている方とか毎日メイクをする芸能関係の方のような外的刺激の多い方などどういう職業かというのも、肌を治療していくうえでの大事なポイントになってきます。で、肌が綺麗な人が心掛けていることってすごく簡単なことで。一番簡単に言うと「何もしない」。
苅部
えみり
おおー!シンプルですね。
何もしなくていいんです、実は。極論を言うと。今は化粧品とか洗顔料とかたくさんあって、僕もいろいろ試してますけど、やっぱり何かしら副作用って出るんですよ。例えばゼオスキンとかも医者の指導のもと使わないとダメージが上回ってしまってシミとか肝斑が悪化するリスクもあるんですね。
苅部
えみり
なるほど…。
300年前の人間で化粧をするなんて一部の富裕層くらいで、現代は男性もするようになってきたくらいみんなしてるものですけど。そもそも皮膚の機能というのは常在菌などがバリア機能としてあるので、何もしなくても紫外線も跳ね返すんですよ。
苅部
えみり
そうなんですね。
山奥のほうで暮らしてる人の肌が綺麗だったりしますけど、それがなぜなのかというと自分のバリア機能を壊してないからなんですよ。要は洗剤や界面活性剤、いろんな化学物質が入ってる日焼け止めとか、アルコール除菌や防腐剤などによって肌の菌も死んじゃうんです。実は菌がセラミドといううるおい物質を作ってくれているので、洗うことによって菌が全部死んじゃうという。なので、何もしないで菌を育ててあげる事が大事なんです。
苅部
えみり
何もしない事が大事!
で、まず第一に洗顔方法がみんな間違ってて。洗剤の材料も大事なんですけど、肌が弱酸性からアルカリ性に傾くと菌が発生したりバリア機能が破綻したりするんです。界面活性剤入りの化粧品とか洗浄力が強い製品がいっぱい出てますけど、やっぱり皮膚科の先生に相談してもらうのが一番です。この成分がどうとかわかる人はごく一部だと思うので。
苅部
あとはゴシゴシ洗わないというのも皆さんよく知ってると思いますけど、泡をなでるようになじませる。僕はジェル状のものしか使わないです。
苅部
えみり
ジェル状の洗顔料ですか?
はい。それを肌に乗せてメイクを落とします。乗せてとろかすみたいなイメージ。もう1mmの刺激も与えたらいけないので、マッサージとか言語道断なんですよ。
苅部
えみり
言語道断!
リラックス効果とかはありますけど、医学的な根拠があって先生たちがおすすめしてるかどうかもポイントにはなるので。YouTubeとかSNSでいろんな情報が流れてますが、宣伝もありますからね。
苅部
えみり
そうですよね。
そこは一歩引いて見る、認識するのが。もちろん自分が好きなものであれば止めませんけどね。まあこすらない、触らないということですね。
苅部
えみり
毎日の洗顔がけっこう重要かもという事ですね。
一日2回洗う必要もないんですよ。僕は朝は水洗いです。カピカピになるまで洗っちゃう人もいますけど、洗った後に肌がぴりっとしたり、乾燥してると思ったらそれは洗いすぎ。洗った後にもちっとして油が残ってるなって状態がいい。何もしなくても寝れる状態というか…僕キャンプによく行くんですけどそういう何もない状況でも大丈夫なような。
苅部
えみり
わかりやすいですね!
お話したようにファンデーションとかもあまり良くないんですけど、洗いすぎるよりは残ってるほうがいいと僕は思います。肌の自浄作用って早くて、勝手に落ちるので。身体のバリア機能で膜が張ってるので、それだけは必ず守ってあげる。洗いすぎるとそれを剥がしちゃうんです。ピーリングとかすればテッカテカでつるんつるんの顔にはなりますけど、肌が刺激に弱くなるので、10年もすると肝斑とかシミだらけになっちゃいますよ。今はいいかもしれないけど、長期的に考えないと。
苅部
えみり
人生長いですからね。
そうなんですよ。一応、自分もそこを気を付けてアラフォーでやってますので(笑)。マネしてください!
苅部
えみり
私もこの先10年後も自分のバリア機能で守れるように頑張ります!
もう1つのポイントが、労わってあげる事。ほめるという事がすごく大事で。
苅部
えみり
ほめる事。自分をですか?
自分の肌をほめるということですね。僕もやってますよ。「今日も綺麗なお肌だね」って(笑)。肌の質感とかトーンとかシワの状態とか、あるじゃないですか。そういうのを全部見たうえで、「昨日は何が良かったんだろう」って日々フィードバックしてます。
苅部
えみり
先生かわいい(笑)。
「昨日はあれを食べちゃったからシワが3本くらい増えてるな」とかやってますね。
苅部
えみり
それ、私できそうです。というかすでにやってるかもしれないです(笑)。「良かった~」とか「ごめんね~」とか。「ごめんね」はよく思ってますww
「ごめんね」は大事です。昨日は遅くまで飲んじゃった、とかね(笑)。そういうときはちゃんと施術したりパックしたり労わってあげないと、ダメージで老けていってしまうので。
苅部
えみり
そういう内面からくるものって先生大切にされてると思うんですけど、やっぱり大事ですよね。これもお話したかったんですけど、「マインドフルネス」も大事だと。
そうなんです。マインドフルネスの学会があって僕も所属してるんですけど、これは医学的にしっかりとした治療法なんですよね。僕は両親が精神科内科なのでそっちにも精通していて、例えば寝られないというような症状の患者さんもうちで診療してるんですよ。そういう心療内科も美容外科と一緒に診療しているので、もうトータルケアというか。
苅部
えみり
すごいです! でも確かにすべて繋がってますもんね。
寝られないとかストレスを抱えてる人の肌ってボロボロになるんです。それがなぜかは医学的にもわかっていて、ストレスホルモンのコルチゾールが上がるとサイトカインというものが全身に行きわたってイライラしたり髪が抜けたり、肌の細胞に行きわたれば赤くなったりニキビになったりシミ・シワになったりします。あと老化細胞に変化して老化が進んだりもします。お腹の中の菌も死んでいくので、「虫唾が走る」とか言いますけどストレスでお腹がぐーっとなるのも生理的な現象なんですよ。だからメンタルケアもしないと本当の美肌って絶対手に入らないんです。
苅部
えみり
ストレスって本当にお肌の大敵なんですね…! そういう認識ってなんとなくはありましたけど、ちゃんと医学的にも証明されていた。
マインドフルネスってカタカナでちょっと難しいけど、日本語で言うと「瞑想」ですよね。瞑想と言うと堅苦しいというか宗教チックな印象もありますけど、アメリカのGoogleやFacebook(現Meta)といった企業ではあたりまえに全社員で朝10分瞑想しましょうって習慣があったりするんですよ。これは別に瞑想を強制してるわけじゃなくて、とにかくボーッとしろということなんですよね。
苅部
えみり
無になれという事ですか?
はい。「マインドフル」という、逆にマインドがフルということはいろんな感情で満ち溢れてるという事で。それを一つ一つ気にするんじゃなくて、受け流す事。悲しいとか嬉しいとかいろんな感情を自分でためこむんじゃなくて一歩外に置いてあげる、流してあげるという。それを続けていく事なんですよね。
苅部
えみり
そうなんですね。
一つの事に集中するのは無理なんですよ。それに気づきを多くするというのが瞑想なので。無になるというのも絶対に無理じゃないですか。10分間無になるって僕も無理ですよ。東京に住んでてこれだけ物音がして。出家すればできるかもしれないですけど(笑)。
苅部
えみり
あはは(笑)。
瞑想する事によってストレスマネージメント力、ストレス耐性が上がるわけですよ。
苅部
えみり
現代社会いろんなものが入ってきやすいですから、受け流すという力も必要ですね。
愛沢さんはたぶんその力が強いと思いますが…。
苅部
えみり
確かに、はい(笑)。スルーで生きてます。
素晴らしいと思います! それがマインドフルネスなんですよ、自然とできてるのは才能です(笑)。
苅部
えみり
良かった(笑)。
なのでみなさんも瞑想しようと思わなくてもいいので、5分くらい何も考えずにボーッとする。疲れたなと思ったときってスマホ見ちゃいますけど、スマホの電源切ってポイッてして無になる事。
苅部
えみり
あえてのその時間が大事なんですね。それが美肌や美容にも繋がっていく。
心技体じゃないですけど、内面と精神面と外面とが僕のクリニックのポリシーでもあるんですよね。
苅部
えみり
素晴らしいお話…。私もそれはすごく思ってて。今度本を出させていただくんですけど(2022年2月刊行「SNS時代の幸福論 ヘルタースケルターにならないための生き方」)、まさにそういう話をしてるんです。美容がすごく好きだったけど、結局は内面、どう生きるかという事に繋がってくるなあって。それをすごく痛感してるので、今日の先生のお話はすごく響きました。
こちらこそです。愛沢さんはもう実践されているわけですからね。
苅部
えみり
いえいえ。もう私は外側をやりまくってきたので(笑)。
そこから今ここに行き着いたわけで。
苅部
えみり
行き着いて、思いました(笑)。結局内面が大事。
みんなそうですよ。10代とかで気付けないですよ、誰々ちゃんに似せたいとかあんなふうに可愛くなりたいとかやっぱり思うと思います。でも他人と比較するんじゃなくて自分を愛してあげる、ほめていく。そうしているうちにいつか自分を好きになって、周りに人が集まってくるようになるし、モテるようになります。可愛い子って自分に自信のある子なので。
苅部
えみり
可愛いの感じ方も人それぞれタイプがありますもんね。キラキラと内面から自信を持つ事。
そうです! 愛沢さんのように。
苅部
えみり
私は美容の先生たちのお力をすごく借りてますので…感謝してます(笑)。今回は本当にいいお話をありがとうございました。今後さらに内面も気を付けて生活していこうと思いました!
こちらこそありがとうございました!
苅部
対談パートナー
愛沢えみり
BETICA 運営代表
株式会社voyage代表 アパレルブランドEmiriaWizの運営のほか、美容や飲食業のプロデュース、メディア運営等を行っている元歌舞伎町No1キャバ嬢。