美容医療コラム
この記事の概要
マスク生活が日常化し、肌荒れに悩まされる方が増えています。この記事では、肌悩みの相談先についてまとめました。形成外科・皮膚科・美容外科・エステの違いについても紹介しますので、肌悩みを抱えている方は参考にしてみてください。
マスク着用時間の増加により起きる、「かぶれ」「湿疹」「赤み」「かゆみ」などの肌トラブル。「市販の薬を塗布したり、マスクの素材を変えたりと、自分なりにいろいろ試してみたけれど全く改善せずに悩んでいる」という方もいるでしょう。
肌の状態が悪化すると、傷跡が残り取り返しがつかなくなる場合もありますので、できるだけ早く肌トラブルを改善したいところです。
この記事では、肌トラブルの相談先についてまとめました。形成外科・皮膚科・美容外科・エステの違い、相談先を選ぶ際のポイントについてもご紹介します。
化粧品、医薬部外品、健康食品などの研究・開発・製造および販売を手がける株式会社セプテム総研(本社:大阪府大阪市 代表取締役社長:石神政道)が、2021年5月に実施した調査『コロナ禍での生活から1年、長期マスク着用と肌悩み』によると、88.6%の女性が「ほぼ毎日マスクを着用している」と答えました。
さらにマスクの素材については、「不織布マスク:66.6%」「布マスク:16.4%」「ポリウレタン・ポリエステル:11.9%」と回答しています。布マスクに関しては、1年前の調査と比較すると約5%増加しており、肌トラブルを経験したのち、肌に優しい素材「綿」を使用したマスクを選択する女性が増えたのではないかと読み取れます。
また、46%の女性が「マスクを着用することで肌状態が変化した(悪くなった)」と回答しており、「ニキビ・吹き出物」「乾燥」「肌荒れ」といった複数の症状が挙げられました。いずれの症状も、マスクと肌の擦れによる刺激や蒸れ、乾燥による肌のバリア機能低下が影響していると考えられます。
肌悩みに直面したとき、そのまま放置するのは望ましくありません。まず、「形成外科」「皮膚科」「美容外科」「エステ」など、肌の専門家に相談しましょう。それぞれの違いについて解説します。
形成外科では「あざ」「火傷」「指切断」など、見た目に影響する状態を治療します。マスク生活により生じた肌悩みも相談可能です。
形成外科と混同されがちな診療科に整形外科がありますが、見た目に影響する状態を治療する形成外科に対し、整形外科では骨、関節などの骨格系と筋肉、神経などの機能改善を目的に治療します。体の見た目に関する治療は形成外科、身体の動きに関する治療は整形外科と認識すると区別しやすいです。
皮膚科では、湿疹、あざ、ニキビ、イボなどの皮膚病から、口内炎など口内に関する疾患、薄毛など頭皮に関することなど、幅広い分野について治療を行っています。もちろん、マスク生活での肌荒れについても相談できます。
皮膚科は病気の治療を目的としているため、基本的には健康保険が適用されます。
なお、皮膚腫瘍や皮膚潰瘍は皮膚科でも診察は可能ですが、皮膚再建など整容性が重視される場合は形成外科で行います。
小顔施術、豊胸、痩身など、コンプレックスを解消してくれる医療機関というイメージが強い美容外科ですが、本来は形成外科の一部と捉えられています。病気やケガなどにより異常となった状態から正常な状態へ戻したい方は、形成外科で治療を行います。それに対し、正常な状態ではあるものの、美しさの追求あるいはコンプレックスの改善を目的としている場合は、美容外科で治療を行います。美容外科でもマスク生活による肌荒れの相談は可能ですが、美容外科の場合は保険診療外になる可能性が高いです。
なお、美容外科の中には、形成外科専門医を取得している医師とそうでない医師がいます。形成外科専門医を取得していない医師にも優れた技術の医師はいますが、難易度が高いとされる形成外科専門医を取得している医師や、日本美容外科学会(JSAPS)の会員である医師は、技術力が高いと考えられます。
美しさの追求やコンプレックスの解消といった目的は美容外科と類似していますが、美容外科は医療機関のみに許可されている医療行為が行えるのに対し、エステは医療行為が行えません。そのため施術者は医師免許を取得する必要がなく、美容に関する知識があればマッサージやケアが行えます。エステにはリラクゼーションの目的もあるため、サロンによってはリラクゼーションエステや漢方マッサージなど、内面から癒やす施術方法を取り入れているところもあります。
なお、マスク生活で抱えた肌トラブルのケアを実施しているエステもあり、リラクゼーションも含めて肌ケアを行いたい方におすすめです。
形成外科・皮膚科・美容外科・エステ、それぞれの特徴がわかったところで、実際に相談先を選ぶ際はどのような点をチェックすればいいのでしょうか。自分に合った相談先に出会うためのポイントをご紹介します。
相談先を決める際には、目的に適した治療・施術を行っているかリサーチしましょう。マスクによる肌荒れを治療したいのに、あれこれと化粧品や外用薬をすすめるだけで、根本的な解決策を提案してくれない場合は、費用だけがかさんでしまいます。真摯に肌の状態に向き合い、適した治療法を提案してくれるところかどうか見極めましょう。
誤った方法で医療行為を行うと、神経を損傷したり、肌が傷ついたりと、肌トラブルが起きる恐れがあります。医師の技術・実績は信用できるか、事前に調べておいたほうがいいでしょう。一つの判断基準として、さまざまな条件をクリアしないとなれない「日本形成外科学会形成外科専門医」や「日本皮膚科学会皮膚科専門医」など、それぞれ専門の資格があります。学術試験など、超難関とされる過程を通過した医師しか取得できない資格です。価格だけではなく、医師の知名度や経歴にも注目してみましょう。
インフォームドコンセントとは、「患者さんが医療行為を受ける前に、わかりやすく十分な説明を受け、理解・納得したうえで同意」という意味があります。
肌荒れについて相談してもていねいな説明がなく強引に治療を迫ったり、当事者が納得しない話をすすめたりするクリニックでの治療は危険です。大切な肌だからこそ、治療によって見込める変化だけではなく、副作用やダウンタイム(施術してから回復するまでの期間)についてもしっかり説明してくれるところで治療を行いましょう。
肌トラブルを治療するにあたり、肌あれや痛みなど思わぬ肌トラブルに見舞われるケースがあります。施術後のアフターケアや、保証制度が充実しているかも確認しましょう。クリニックによっては、24時間体制で相談を受けているところもあります。
症状が軽度の場合、セルフケアで改善が見込めるケースもあります。自分でできるセルフケアについてご紹介します。
ニキビの原因は、マスクの摩擦や蒸れ、乾燥などです。マスク内で肌が蒸れると、ターンオーバー(肌の新陳代謝)が乱れ乾燥しやすくなるため、通気性が良く蒸れにくい素材のマスクを着用しましょう。また、皮脂が毛穴に詰まったままだと、アクネ菌が繁殖しニキビができやすいです。こまめに肌をできるだけ清潔に保ち、低刺激の化粧品で保湿ケアしましょう。ただし、油分が多いクリームを使用すると毛穴が詰まり、ニキビや吹き出物の原因となるため、保湿する際には油性成分が使われていない保湿クリームを選ぶようにしてください。
紫外線や生活習慣の乱れ、加齢により肌の乾燥は加速します。乾燥した肌はバリア機能が低下し、いつも以上に敏感になっているため、洗顔方法を見直しや十分な保湿ケアを心がけましょう。たっぷりの泡で優しく洗顔した後は、ヒアルロン酸やスクワランなどの保湿成分が配合された保湿クリームでケアします。
加齢によるコラーゲンとエラスチンの減少、皮下脂肪の増加によりたるみは生じます。「マスク生活で顔がたるんだ気がする」と悩んでいる方は、生活習慣を見直しや紫外線対策を行いましょう。肌にハリを与えるコラーゲンとエラスチンは加齢以外にも、喫煙・飲酒による活性酸素の増加や紫外線が原因で減少します。また、リンパの流れが滞ると老廃物が排出されにくく、皮下脂肪が増加してしまいます。リンパマッサージやエクササイズなどでたるみを防ぎましょう。
マスク生活で増えた肌悩みは、「形成外科」「皮膚科」「美容外科」「エステ」で相談できます。症状にもよりますが、医療機関で改善を目指したい方は「形成外科」「皮膚科」「美容外科」を、リラクゼーションも求める方は「エステ」が適しているでしょう。
相談先を選ぶ際には、医師の技術や実績に加えて、カウンセリングやアフターケアが充実しているかどうかを確認します。大切な肌だからこそ、相談先は慎重に選びましょう。