美容医療コラム
ストレスやホルモンバランスの乱れなどにより生じる薄毛。「薄毛が進行してきたかも?」と感じている方は、気づいたときにすぐケアを開始しましょう。
ここでは、ホームケアと美容クリニックでできる薄毛対策についてご紹介します。あわせて、日常生活で実践できる薄毛予防もご紹介しますので、薄毛に悩む方は参考にしてください。
血行不良や毛穴の詰まりは、薄毛を引き起こす原因となります。これらの原因を予防するための、ホームケアでできる薄毛対策についてご紹介します。
頭皮マッサージには、血流改善や毛穴詰まりの改善が期待できます。また、髪の成長サイクルを正常に働かせる細胞「毛乳頭細胞」に、振動を与えることで頭皮の細胞が活性化され、毛髪の成長が促進されるメリットもあります。
頭皮状態の悪化が原因で起きる「毛髪が細くなる」「毛髪が抜け落ちる」といった症状を防ぐために、頭皮マッサージを実践してみましょう。
頭皮マッサージの方法には、広げた指の腹を使って円を描くようにもみほぐす「揉捻法(じゅうねんほう)」と、指先で頭皮をつかんで離す「圧迫法」、軽く握ったこぶしで叩く「叩打法(こうだほう)」があります。
3つの方法はそれぞれ作用が異なり、組み合わせて実践すればさらに頭皮マッサージの作用を高められます。
マッサージのやり過ぎや力の入れ過ぎは、頭皮を傷つける恐れがあります。頭皮マッサージを行う際には、1日3回程度に留めて「気持ちいい」と感じる力加減で行いましょう。
育毛シャンプー自体に発毛効果はありませんが、育毛剤の働きを高める作用や、頭皮の皮脂を過剰に取り除くことを防ぎ、頭皮環境を整える作用があります。
「髪が減ってきた」と感じた方は、シャンプーの質を見直しましょう。
シャンプーには、水と頭皮の油を中和させる成分の「界面活性剤」が配合されていますが、一般的なシャンプーは主に、アルコール系の界面活性剤が含まれています。それに対して育毛シャンプーには、主にアミノ酸系や高級アルコール系といった頭皮に負担が少ない界面活性剤が含まれています。
ただし、同じ育毛シャンプーでも、界面活性剤の種類が肌に適していないと、頭皮の状態を悪化させてしまう恐れがあるので、肌質を基準に育毛シャンプーを選びましょう。肌質に適したシャンプーは以下のとおりです。
アミノ酸系の育毛シャンプーは、乾燥肌の方には適していますが、脂性肌の方が使用すると十分に汚れが取り除けない恐れがあります。また、高級アルコール系のシャンプーを普通肌の方が使用すると、必要以上に皮脂を取り除き、頭皮の乾燥を招くことがあるので、普通肌の方はアミノ酸系が配合された育毛シャンプーを使用しましょう。
育毛剤は頭皮の血行を促進し、頭皮を健やかに保ってフケやかゆみを防ぐ作用があります。同時に毛髪を育てて抜け毛を予防する働きもあるので、「最近、抜け毛が多くなってきたかも?」と感じている方は、早めに育毛剤を使用しましょう。
ただし、毛髪を生やす目的の「発毛剤」とは異なり、育毛剤には発毛作用はありません。また、作用が現れるのは使用開始から3カ月〜6カ月程度なので、継続して使用することが大切です。
なお、発毛剤と育毛剤の併用は、それぞれの機能が十分に発揮できなくなるので避けましょう。
美容クリニックによっては、薄毛に対する診察・施術も行っています。美容クリニックでできる薄毛対策には、どのような施術方法があるのか見ていきましょう。
美容クリニックでは、薄毛対策として内服薬を処方しています。処方されるのは、厚生労働省が認定したAGA治療薬「プロペシア」もしくは「ザガーロ」が一般的です。
ただし、2種類とも男性は服用できますが、女性の服用は認められていません。男性ホルモンに作用して薄毛を改善へと導く作用があり、女性が服用するとホルモンバランスが乱れ、身体へと悪影響を及ぼす恐れがあるからです。女性の方は外用薬の使用など、他の施術方法で薄毛対策を行いましょう。
ちなみに、薄毛対策の内服薬にもジェネリック薬品は存在します。「フィナステリド錠」には、プロペシアと同じ成分が含まれているので、治療費を抑えたい方におすすめです。
美容クリニックで処方される外用薬には、ヘアサイクルを正常に戻す作用がある「ミノキシジル」が配合されており、女性向けのものもあります。
ただし、肌が弱い方や頭皮に傷がある、妊娠中・授乳中の方はミノキシジルを使用できません。また、同じ外用薬でも男性の場合はミノキシジルが5%、女性の場合はミノキシジルが1%と、配合量が異なります。女性が男性向けの外用薬を使用した場合、どのような副作用が起こるかわからないため、例えば夫婦間で外用薬を共有したり、知人から譲り受けたりするのは絶対にやめましょう。
短期間での育毛を目指したい方は、「ニードル浸透注入法」が選択肢のひとつです。
ニードル浸透注入法とは、ナノ化(1mmの100万分の1)させた発毛成長因子とミノキシジルを頭皮に直接吹きかける方法で、毛細血管の拡張、毛髪再生、毛母細胞の分裂促進といった作用をもたらします。
内服薬とは異なり、男女とも施術対象なので、薄毛に悩むすべての方におすすめです。
施術中は注射針を使用しないので出血や強い痛みはありませんが、頭痛、血圧低下などの副作用が生じる場合があります。
薄毛の原因は遺伝とは限らず、生活習慣が影響していることもあります。日常生活においてできる薄毛予防についてご紹介します。
髪の成長と食生活は大きく関係しています。薄毛を予防するには、バランスの取れた食生活を心がけましょう。食生活が乱れると、髪や頭皮に十分な栄養が行き届かなくなり、薄毛につながります。
特に、揚げ物など動物性脂肪が多い食事は、皮脂の過剰摂取を引き起こし、頭皮の状態を悪化させるので、外食の際にはサラダなど野菜も忘れずに摂り入れましょう。
また、ダイエット目的で食事制限を行っている女性は、ダイエットの方法を見直しも大切です。
食事制限により栄養バランスが崩れると、髪や頭皮に必要な栄養素が行き届かなくなると同時に、髪の発育に重要な働きをもたらす女性ホルモン「エストロゲン」が減少します。それが薄毛の原因になる恐れがあるので、髪の成長に必要である「タンパク質」「ミネラル」「ビタミンA」「ビタミンB」といった栄養素をしっかりと摂取しましょう。
タンパク質には、髪が細くなることを防ぐ作用があります。毛髪はタンパク質の一種である「ケラチン」で構成されており、不足すると髪が細くなるのです。ケラチンを不足させないためにも、肉・魚・大豆・乳製品に多く含まれるタンパク質を摂取しましょう。
また、牡蠣・豚レバー・納豆・いわしなどに多く含まれるミネラルは、薄毛の原因となる男性ホルモンを抑制したり、毛髪を作り出す「毛母細胞」の増殖を促進したりする働きがあります。
そして、にんじん・かぼちゃなどの緑黄色野菜に多く含まれるビタミンAには、血流改善と頭皮環境の改善をする働きがあり、あさりやししゃもに多く含まれるビタミンBにはケラチンの生成を助ける働きがあります。
睡眠不足は「自律神経の乱れ」「血流の悪化」を引き起こし、成長ホルモンの分泌を妨げます。成長ホルモンが分泌されないと、毛髪の形成に必要なタンパク質の合成が十分に行われず、薄毛を引き起こす恐れがあります。薄毛を予防するためにも、十分な睡眠時間を確保するよう努めましょう。
最近では入眠してから3時間~4時間が、「睡眠のゴールデンタイム」といわれています。この3時間~4時間の間に深い眠りにつけているかが重要で、眠りが浅いと充分な成長ホルモンが分泌されません。
ちなみに、適した睡眠時間の長さも人によって異なりますが、6時間〜8時間が最適な睡眠時間とされています。
運動不足が続くと血行不良となり、毛髪の成長に必要な栄養素が行き届かなくなります。薄毛を予防するために、日頃より適度な運動を行いましょう。
筋トレなどの無酸素運動は、成長ホルモンの分泌を促し、育毛を促進させる働きがあります。それに対し、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動は、新陳代謝の活性化や皮脂の過剰分泌の抑制、血流改善などの作用が期待できます。
また、有酸素運動には自律神経を整え、頭皮環境を改善する作用もあるので、髪に良い影響をもたらします。
薄毛対策には、頭皮マッサージといったホームケアでできる対策から、内服薬の服用といった美容クリニックでできる薄毛対策もあります。進行を緩やかにするためにも薄毛に気づいたら、すぐにでも薄毛対策を行いましょう。
また、日常生活においても薄毛予防を取り入れることが大切です。生活習慣は頭皮の環境を左右するので、バランスのとれた食事と適度な運動を心がけ、十分な睡眠時間の確保に努めましょう。